「怖い、汚い」と言われた街は、どう変わったのか――『ミナミ再生を語り継ぐ』
1970年頃の道頓堀川を戎橋から臨む(戎橋筋商店街提供)/2018年なんば駅前/現在のなんば広場
多様な楽しみと、どこか雑多な魅力をあわせ持つミナミ。その空気が好きで、何度も足を運ぶ方も多いのではないでしょうか。けれども20年余り前、ミナミは「怖い、汚い街」と言われた時期がありました。客引きや違法看板が目立ち、放置自転車が歩道をふさぎ、商店街の通行者数も大きく落ち込んでいました。
第1回地域防犯キャンペーンの様子(2001(平成13)年3月28日、戎橋筋商店街提供)
そこから街を変えていった原動力の一つが、地元の商人たちです。地道なパトロールを続け、行政や警察、企業などと相談し、協力できる仕組みをつくりながら、客引きや放置自転車対策など、安全・安心な環境づくりに取り組んできました。同時に、道頓堀川の水辺、御堂筋、なんば駅前など、古くなった公共空間を「歩きたくなる、過ごしたくなる場所」へ変える挑戦も重ねられました。とんぼりリバーウォーク、御堂筋の歩行者空間、なんば広場は、こうした官民の試行錯誤の積み重ねから生まれたものです。
大阪ミナミ400年祭の会場風景(2015(平成27)年)
『ミナミ再生を語り継ぐ』は、この25年間の歩みを、関係者への聞き取りをもとにまとめた一冊です。ミナミまち育てネットワークと、その前身であるミナミまちづくりフォーラムも、その歩みの一端を担ってきました。誰が何を思い、どう動き、街の危機を乗り越えてきたのか。専門書というより、「まちづくりの物語」として読んでいただきたい本です。2年前から準備をはじめ、書き上げるのに半年を擁しました。25年の歴史をきちんと語り継ぐために、この本に登場する商人、行政、関係者に確認をいただきました。
読み終えたあと、いつものミナミの景色が少し違って見えるかもしれません。
●著者 橋爪紳也(執筆・監修)、山本英夫(執筆・編集)
●発行 遊文舎、A5サイズ約180頁、定価1500円
詳細と購入はこちらから
https://tanabe-local.net/story-of-minamis-revitalization/
文:山本英夫 (元・戎橋筋商店街振興組合事務局長・まちのコト研究所 主宰・大阪公立大学客員研究員)